消毒の際にエチルアルコール(エタノール)のスプレーをお使いになる方もいらっしゃると思います。このアルコールスプレーの危険性についてお問い合わせがありました。
フランスのナンシー大学が、病院内で消毒の際にアルコールスプレーを用いた影響を調査した文献があり、皮膚からの吸入はほぼ無かったのですが、呼気中のアルコール濃度が上がることが分かっています。スプレーしたときに周辺に漂うエチルアルコール蒸気を吸い、これが吸収されているようです。
Dermal and pulmonary absorption of ethanol from alcohol-based hand rub
D. Ahmed-Lecheheb*, L. Cunat, P. Hartemann, A. Hautemanière
*Nancy University, France
Journal of Hospital Infection (2012) 81, 31-35
この報告では大人では問題の無い程度と結論づけていますが、体重の少ない赤ちゃんやペットなどの近くでアルコールスプレーを使用するのは避けた方が無難です。
また、室内でアルコールスプレーを使うと、我々が思っている以上に室内に拡散しているようです。
Ethanol-based disinfectant sprays drive rapid changes in the chemical composition of indoor air in residential buildings 2021, Journal of Hazardous Materials Letters
急性毒性だけでなく、エチルアルコールの発がん性は確からしいので、しきい値が無い可能性からも成長途中の赤ちゃん(人・ペット問わず)の居る部屋でエタノールスプレーを使うことは避けたいですね。あえてエチルアルコールではなく、他の消毒薬(欧米ではアルコール製剤を使うとしても揮発性の低いn-プロパノールやイソプロパノールなどが主流。ただしプロパノールは他のリスクあり。アルコール以外の消毒薬もあります。)を使うことも検討されて良いかと思います。
アルコールスプレーの安全性(危険性)について
アルコールが肺から吸収されている模様